「ィヨップ!」


アゾフ海沿岸には何故かギリシャ人が沢山住んでいる。
サーシャ自身はロシア人だが、親戚には沢山ギリシャ人やその子孫達が居る。
最初見た時はコーカサス人かと思ったが、「いえ、勘違いされるけどギリシャ人です。」
と言っていた。

何故、ギリシャ人がウクライナに、しかもアゾフ海沿岸に住んでいるのかは不思議だが、
とにかく住んでいるのだ。2002年の夏、建設中のギリシャ大使館(領事館?)も見かけた。

冬に来た時、サーシャの親戚のセリョージャさんの所に連れて行って貰った。
名前はセリョージャだが、彼は生粋のギリシャ人。勿論、ロシア語を普段は話す。
セリョージャさんは、ギリシャ語が喋れないギリシャ人だがサーシャの別の親戚の
ヴィエラおばさんはギリシャ語を喋れると言っていた。

日本と違って大陸は複雑に民族が入り混じっているのだなぁ、と感慨深い。

「セリョージャおじさんがお前に会いたがっているからヤルタに行くゾ!」とサーシャが言うので
行くことにした。2、3日はアパート探しは止めて農村でノンビリするのも良いだろう。

あ、「ヤルタ」と言っても、あの「巨頭会談」が行われた「クリミアのヤルタ」とは違いますよ。
アゾフ海沿岸にもヤルタという小さな農村があるのです。でも、ややこしいッスね。
まぁ、東京に「新宿(しんじゅく)」があれば埼玉(←だったかな)にも「新宿(にいじゅく)」が
あるようなモンです。
東京に「赤坂」があれば、岩手のド田舎に「赤坂田」があるようなもので、、、(全然違う?)

このセリョージャおじさん、冬に来た時は持ち帰れないほどお土産をいっぱいくれて困ったほどだった。
サラ(豚肉の脂肪)、ヒマワリの種、鴨まるまる一匹(←デカイ!)、ニンニク、じゃがいも、その他、、、
貰ったお土産の総重量が40キロを越えていて、帰りのキエフの空港でビクビクしていた。
結局、驚くほど安い超過料金を支払っただけで済んだが、筋肉痛になるくらいの重たい荷物だった。

バスに乗って30分ほど行った所に、ウクライナの平凡な農村「ヤルタ」はあった。

セリョージャさんは仕事中。奥さんのカーチャおばさんが自分の所の敷地で飼っている家畜に餌をあげていた。
サーシャは農作業が好きらしい。到着するや否や、カーチャおばさんを手伝っていた。

散歩でもしようかと思ったが、楽しそうにサーシャが楽しそうに農作業をしているので
僕も手伝ってみる事にした。

自転車(といっても、何故かブレーキは付いていない)に乗って、牛に食べさせる草を刈り取りに行ったり、
家畜に餌をあげたりしていた。牛の乳搾りは生まれて初めての経験だったのでチョット怖かった。

フーン、、、こうして牛乳が出来るワケですね。結構、大変なんだな。
それをアルミ製のデッカイ容器に入れて街で売るのだそうだ。売るのもサーシャが手伝うらしい。

ところが、このデッカイ容器は牛乳でいっぱいになると恐ろしく重たくなる。何キロあっただろうか?
幾ら力持ちのサーシャでも、コレは一人では運べない。案の定、「手伝ってくれ」と言われた。

サーシャは容器の下の方を持ち、僕は容器の上の部分を持ち上げる事に。いっせーのセッ!!!

サーシャ:「オッパー!」

ワシ:「ィヨップ!!!」 、、、ヒィー!メチャ重い!コレは腰にきそうだなぁ。

と、思ったらサーシャが横で笑い転げていた。力なくヘナヘナと倒れ込んでお腹を抱えて笑っていた。
ハテ?何でこの人、笑ってるんだろう?なんかおかしな事でも言ったかな?
「ィヨップ!」と掛け声を言っただけなんだけどなぁ。

サーシャ:「アハハハハ!お前、持ち上げる時に何て言った?」

ワシ:「ィヨップ!と、、、?」

またまた、ハハヒヒ!ハハヒヒ!と笑い転げた。ィヨップがそんなにおかしいのかな?

わざわざカーチャおばさんの所まで行って、何やら言っている。

サーシャ:「日本では重たいモノを持ち上げる時には、ィヨップ!と言うそうだ!」

カーチャおばさん、大爆笑。 、、、え?ィヨップってどういう意味なのさぁ?ねぇねぇ?

当然カーチャおばさんは恥ずかしがって答えてくれない。サーシャはひたすら笑い転げている。
女性がこういう態度を示すのだから、恐らく「ィヨップ」は卑猥な言葉なのだろうという事は想像がつく。
ねぇねぇ、そういう意味なの???

関西や九州ではどうか分からないが、東京では重たいモノを持ち上げる時に「ィヨップ!」と言って
気合を入れる。 、、、もしかして、そんな事を言っているのは僕だけだろうか?
しかし、この「ィヨップ!」はロシア人の前では禁句らしい。
サーシャは、近所の人を呼び寄せてワザワザ説明している。ご近所さん、大爆笑!でも何で?

ロシア人だって「おっぱー!」とか言ってるじゃんよォ!まぁ、「オッパイ」は卑猥な言葉ではないけれども。
あー、なんか恥ずかしくなってきた。何だか知らないが、物凄く恥ずかしい事を口走ったらしい。
結局、聞いても聞いても答えてくれなかった。自分で辞書で調べるからスペルを教えろと言っても無駄!
ひたすら笑い転げている。とにかく「ィヨップ」がロシア語で卑猥な意味らしい事は分かった。

例えば、日本でロシア人が日本の引越し業者に頼んだとしたら重たい家具を持ち上げる度に大爆笑なのだろうか?
つい最近、東京で引越ししたから知っている。日本人は「せーのッ!」の掛け声の後、「ィヨップ!」と言うゾ!

、、、結局、意味は今でも良く分かりません。
恐らくスペルは、「йоб」か「ееб(в)」、「иеб」だと思います。誰か知ってたらコッソリ教えて下さい。

なんか、僕らが普段何気なく喋っている日本語(の単語)が、他言語では卑猥な意味をしているとは知らずに
喋っているのってなんかおかしいですね。
アフリカの何処かの言語(スワヒリ語だったかなぁ?)で「熊本」というのは、強烈に卑猥な意味らしいです。

そう言えば、米原万里さんも著書でそんな事を書かれていたなぁ。
確かに意味が意味なだけに「恵比寿」に住めるロシア人は居ないかも。



ウクライナでの失敗(失言)はこれだけに留まらない。
アパートを何軒も見て歩いて、夕方疲れ切って帰り道を歩いていた。
CISではアチコチでオバサンがヒマワリの種やピーナッツを売っている。
ビールのつまみにピーナッツを買おうとした。ヒマワリの種はイチイチ食べるのが面倒臭いが、
ピーナッツは簡単に皮が剥けるので楽だからだ。旧ソ連人はヒマワリの種が大好きだが、、、

暑いし疲れていたのでボーッとしていてからだろうか?思わずポロッと言ってしまったのが次の言葉。

ワシ:「おばちゃん、ピ○ダーシキをくらはい!(←伏字でスマンな!)」

横にいたサーシャ、売り子のおばちゃんまたまた大爆笑!!!
言った後、「あー、、、言い間違えた、、、穴があったら入りたい、、、はずかちぃ、、、」
今、思い出しても強烈に恥ずかしい。しかし、紛らわしいのは事実だ。

ロシア語でピーナッツの事を「фисташки(フィスターシキ)」と言う。
これが、よくロシア人が毎日のように口にする「ある言葉」と非常に良く似ている。とっても似ている。
ロシア人と話しているとこの言葉をよく聞くので、僕まで何かあるとコレを口にする事はある。

何故か、ロシア語の罵り言葉は「男性器」や「女性器」を言う事が多いようだ。
こんな単語は実は一番覚えなくてもよい単語なのに、何故か一番最初に覚えてしまう。
ロシア人は挨拶言葉の如く、こういった単語を口にするので自然とインプットされてしまうらしい。

しかし、よく考えてみると日本語って相手を罵る言葉が非常に貧弱ですね。
思いつく限りでは卑猥な表現の相手を罵る言葉ってないしなぁ。(ありますかねぇ?)

ロシア人の前で、そうとは知らずに真顔で変な事(卑猥な事)を言ってたらおかしいですね。
日本人は、ロシア人の前で重たいモノを持ち上げる時は気を付けましょう。

セリョージャおじさんとのやりとりは、、、また今度書きます。
出だしの時に比べると、思いっきり話が逸れてしまった。なんかオチがないし、、、?